なぜそうなるか

使わない切手を売ったお金に、所得税はかかるのか——所得税法と国税庁の頁は「生活用動産」の線を引いていて、切手を名指ししてはいませんでした

引き出しの奥から、昔の記念切手のシートがまとめて出てくることがあります。手紙を書く機会も減って、買取に出してしまおうかと考える場面です。

売れば、いくらかのお金が手元に入ります。そこで少し気になるのが、税金のことです。確定申告のような手続きが要るのか、それとも気にしなくてよいのか。

郵便局では切手を現金に戻せないことは、前の記事で日本郵便の案内から読みました。お金に換える道は、買い取ってもらうほうに限られます。

物を売って得たお金には、所得税法の「譲渡所得」という区分があります。ただ、家の中の物を売るたびに税金がかかるわけではなく、法律は課税しない範囲も決めていました。

今回は e-Gov 法令検索で所得税法第9条と所得税法施行令第25条を開き、国税庁のタックスアンサーから「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」と「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」の2本を読みました。

この記事では、条文と頁の文を2026年9月27日の時点のまま引きます。自分の場合に申告が要るかどうかは、税務署の相談窓口で確かめてください。

この記事でわかること
・生活に通常必要な動産の譲渡による所得には、所得税を課さない(所得税法第9条)
・貴金属や書画・骨とうなどで1個または1組30万円を超えるものは、この範囲から外れる(施行令第25条)
・読んだ条文と頁は、切手を名指ししていない
・継続的に売っている場合は、事業所得や雑所得になる
・総合課税の譲渡所得には、50万円の特別控除がある

家の物を売ったお金には、税金がかかるの?

使わない物を売ったら、そのお金は所得になるの?

所得税法第9条は、生活の用に供する家具や衣服などの譲渡による所得に所得税を課さないとしています。

国税庁の頁は、譲渡所得という区分をまず一文で説明していました。

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。

そのうえで、課税しない範囲を決めているのが所得税法第9条です。「非課税所得」の条で、課税しない所得を1号ずつ並べていました。書き出しは短い一文です。

次に掲げる所得については、所得税を課さない。

家の物を売った場合に当たるのは、第1項第9号です。

自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得

国税庁の頁では、同じ範囲に「生活用動産」という呼び名が付き、例が挙がります。

家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。

高い物だと、話が変わるの?

値の張る物を売ったときも、同じ扱い?

施行令第25条は、1個または1組の価額が30万円を超える一部の品を、この範囲から外しています。

第9号の「政令で定めるもの」を受けるのが、所得税法施行令第25条です。条文は、外す品を2つの号に分けて並べていました。

貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品

もう1つの号は、1行だけです。

書画、こつとう及び美術工芸品

国税庁の頁も、同じ線を短く書いています。

ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。

切手は、どちらに入るの?

切手は「生活用動産」に入るの、入らないの?

今回読んだ条文と頁には、切手という語は出てきませんでした。

第9条の例は家具・じゅう器・衣服で、施行令第25条の2つの号は宝飾品と書画・骨とう・美術工芸品でした。国税庁の頁の例も、通勤用の自動車までです。

手紙を出すために買った切手の余りと、集めて保管してきた記念切手とで、扱いが同じになるかどうかも、読んだ範囲には書かれていませんでした。この記事では、どちらに入ると決めることはしません。

何度も売っていると、違うの?

買い集めては売る、を繰り返していたら?

国税庁の頁は、相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合を譲渡所得とは別に扱っています。

頁には、資産の譲渡による所得でも、譲渡所得ではなく別の所得として課税されるものが並んでいました。その5つ目がこれです。

(1)から(4)までの資産以外の資産を相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合の所得は、事業所得または雑所得となります。

家にあった物を一度まとめて手放すのと、仕入れて売ることを続けるのとでは、区分が変わるということです。

線から外れたときは、どう計算するの?

課税される側になったら、売ったお金が全部所得になるの?

国税庁の頁は、総合課税の譲渡所得から50万円の特別控除を差し引く式を示しています。

土地建物や株式等以外の資産を売ったときの計算は、別の頁にありました。式はこうです。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)

式の中の取得費には、注が付いていました。

取得費とは、一般に購入代金のことです。

売った額から買った額と売るためにかかった費用を引き、さらに特別控除を引く形です。所有期間が5年を超える長期譲渡所得なら、総合課税の対象はその2分の1です。

この記事で確認したこと

切手を売ったお金と所得税について、条文と頁が書いていたこと
・生活の用に供する家具・じゅう器・衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得には、所得税を課さない(所得税法第9条第1項第9号)
・貴金属や宝飾品、書画・こつとう・美術工芸品で、1個または1組30万円を超えるものは除く(施行令第25条)
・読んだ条文と頁に、切手の語は出てこない
・継続的に譲渡している場合は、事業所得または雑所得
・総合課税の譲渡所得は、譲渡価額から取得費・譲渡費用・50万円を引いて計算

よくある質問

切手の買取で受け取った額が少なくても、申告が要りますか

今回読んだ条文と頁は、課税しない範囲と計算の式までで、申告が要る金額の線には触れていませんでした。自分の場合は、税務署の相談窓口で確かめてください。

郵便局で交換してもらった場合は、どうなりますか

郵便局での交換は、お金ではなく切手やはがきに替える手続きで、前の記事で手数料を読んでいます。今回読んだ条文と頁は、交換には触れていませんでした。

30万円は、売った合計の額ですか

施行令第25条と国税庁の頁は「1個又は1組の価額」と書いていました。まとめて売った合計の額かどうかは、この書き方からは読み取れません。

この整理が変わる条件


出典

買取に出す前に、手元の切手が使うために買った物か、集めてきた物かを分けておいてください。

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